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ワークライフバランスの支点を探る

■はじめに~ワークライフバランス実現のために

若い方たちからお話を伺っていると、な年配の管理者層の方には、ワークライフバランスの必要性は、未だ理解されていないようです。6月3日に成立した改正・育児介護休業法(男性の育児休暇取得の促進)に対する意識調査でも、過半数が男性の育児が取りやすくなるとは思えないとし、その理由として、「育休取得に否定的な上司・同僚の意識」を挙げています。

 

家事・育児・介護・病気療養、生活に時間を割かなければならない者は、無理解な(時代の変化についていけない)周囲の人間に対し、ワークライフバランスをとりにいくための働きかけが不可欠です。そのためにも、自分にとってのワークライフバランスの意義とそれを支える価値観を明確にすることが重要です。

 

内閣府の「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)憲章」では、仕事と生活の調和が実現した社会を以下のように描きます。

 

「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」  内閣府「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)憲章」 

 

理想は単にめざすものではなく、実現するために描くものなのです。 

 

■役割葛藤の解消~選択と集中~

「ワークライフバランスを実現する」という場合、概ね、①職業人として仕事上の責任を果たすという役割、②家庭人として円満な家庭生活を営むことに尽力する役割の2つの役割葛藤を解消することを意味します。

多大な労力と時間をかける必要のある2つの役割を如何に統合し、対立関係を解消するか。

 

時間は有限です。両立困難な2つの役割を実行しなければならないという葛藤を解消するには、大きく分けて以下の2方法が考えらます。

① 「あちらも、こちらも」、を実現するため、24時間寝る間も惜しんでそれぞれの責務を全うする

② 「あちらか、こちらか」、を選択し、一方の役割を放棄する(滅私奉公・滅公奉私)

しかし、①は超人的な努力と体力・精神力の消耗を来す危険があり、②は、ワークライフバランスの実現の放棄でしかありません。

 

①②の方法ががとれない中で、自己の責務を果たすためには、「あちら(仕事)も、こちら(生活)も」真にすべきことに注力し、それ以外の事柄を如何にするかを考えなければなりません。3番目の道、それが「選択と集中」です。

 

選択と集中を実践するためには、数ある仕事・生活の中から、自らがなすべきこと、を決める必要があります。

そして、その選択を職場やパートナーと共有し、関係の維持を働きかけ続ける意思が不可欠です。

 

「選択と集中」によりワークライフバランスの実現を図る際の留意点をまとめると、以下になります。 

 

                                                                   【「選択と集中」によりワークライフバランスの実現を図る際の留意点】

             ① 全てに完璧をめざさない。不完全さを受容する忍耐力をもつ   
                           ② 自己の価値観を明確化し、職場・パートナーと、共有する
                           ③ 自己の価値観・基準に照らし、責任をもつ・こだわるべき事柄を明確にする
                           ④ 選択したもの以外の事柄・仕事に対しては、如何に対処するか、どの程度の成果レベルとするか考える

■支点を探る

私は、ワークライフバランスをとるというのは、ストーンタワーを建てるようなイメージを抱いています。 

仕事・家庭の状況は刻一刻と変化します。上手く回っていると思っていると、急に平衡が崩れるのが日常です。その度に、バランスをとるた支点を探り、トライ&エラーを繰り返していかざるを得ません。この時、「何を重視するのか」「自分の大切にする価値は何か」を明確にしておくことは、支点に一本の筋を通すために、とても大切な気がします。

如何に不安定に見えても、積んだ石の支点が重心に乗っていればタワーは倒れません。

そして、バランスをとるための支点を探る際、パートナーや職場の仲間にタワーを支えてもらうことは、決して恥ずかしいことではないと思うのです。

 

 組織内で働く者にとって、ワークライフバランスは、ひとりで実現できるものではないはずです。

 職場・パートナーに働きかけ、大切にするものを共有する努力をし続けることが、一見不安定に見えるワークとライフのバランスをとることに繋がるのだと思います。

 

(短い期間でしたが)父の介護を終え、実感したことを記述してみました。

これからも、ワークライフバランスに悩む人々や組織を支援していきたいと思います。

  

組織開発コンサルタント 後閑徹