
先日、チームリーダーになったばかりの方々を対象に研修をしていた時、「自分に自信がないのですが、どうしたらよいですか?」というご質問を2日連続で頂きました。
リーダー、マネジャーは、決断を強いられます。決断とは、選択の妥当性が不明であり、その正しさは、結果の実現によって証明せざるを得ない意思決定です。
逆説的な物言いですが、自信がなければリーダー・マネジャーとしての責を全うすることは難しいと思います。
研修では、私の人生観を語るわけにもいかず、踏み込んでは話せませんでした。僭越ですが、その際、話せなかったことを、このブログに記します。
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私たちは、他人の評価をコントロールすることはできません。また、他人の顔色を窺ってばかりでは、面白くないでしょうし、疲れるばかりでしょう。
翻って、自分の評価は自分次第です。自己の判断・決断、行動を肯定するためには、様々な利益・価値・規範を総合して、考え抜き、取りうる次善の策をとらなければなりません。
そして、考え抜いた判断・決断、行動もまた、不完全なものでしかない、と高を括ることが必要だと思います。
地上を這いつくばって生きる身ですから、すべてを見通し、あらゆる情報を手に入れられるわけではありません。うまくいかないことも多いでしょう。
それでも、「そんなものさ」と開き直り、前に進むしかない。悔いるべきことがあれば、とことん悔いて身に刻み、成長の糧としましょう。やがて傷口はかさぶたとなって、再生し、精神はより強靭になるはずです。苦しいことですが、堕ちるときは、正しく堕ち切ることが大切です(坂口安吾みたいですが)。このような過程をふむことを通じて、初めて自分を肯定的に受け容れられるのではないでしょうか。
逆に、自分で考え抜かなければ、周囲の評価により、自分の判断・決断の妥当性を確認するしかなくなるでしょう。他人の評価ほどうつろいやすく、不確かなものはありません。そのようなものを足場に据えてはいけません。
所詮、人生は自己満足。自分以上に自分の人生を知り、大切に思う者はいません。迷いながら決断してきても、歩んできた道を振り返れば一本の道です。そして、同じ道を、あなたの前に誰かが歩いたかもしれない。あなたの足跡を、後から来る誰かがたどるかもしれない。
「自分に自信がない」という人も、他人に左右されない自分の核となるものを早く形成してもらいたいと思います。そのために、考え抜き、本を読み(あなたが考えていたことを著名な誰かが書いているのに出合うでしょう)、失敗し、落ち込み、それでもどうしようもなく前に進もうと思う自分に出会ってください。
帰りの新幹線の中で、5年ほど前、女性活躍に関してインタビューした某メガバンク勤務の女性に質問されたことを思い出しました。
「年をとれば、いろんなことが楽になりますか?」
私は、こうに答えました。
「考えながら生きていると、だいたいの問題は考えたことがある、と思えるようになるはず。そうすると、どこにどんな問題と一応の答えが収納されているか、すぐわかるようになる。考えるルートもすぐに辿れる。楽になると思いますよ。」
考え抜くこと、決断すること、高を括ること、反省すること、そして、やり抜くこと、前進すること。これが、自信をもつための方法です。
どうか皆さんが、良きリーダー、良きマネジャーになられますように。そして、リーダー、マネジャーの遣り甲斐と喜びを感じられますように。
応援しています。心から。
組織開発コンサルタント
後閑 徹