
ユパ様をご存知ですか?
そう。「風の谷のナウシカ」に出てくる腐海辺境一の剣士。諸国を放浪し、文化や風習にも造詣が深いナウシカの師です。人望厚く、国同士の争いをやめさせようと奔走するナウシカを助けます(合っていますか?)。
前回、で、人生の後半のキャリアを考えることの必要を書きました。では、自分自身の人生後半の在り方をどう考えているのか、と考えたとき、ふと頭に浮かんだのが、ナウシカに出てくるユパ様です。
後から来る者に自分の経験を伝え、導き、その知恵をもって徒な対立を収めようとする。遠くを見渡し、真理を探究する情熱と謙虚な姿勢を忘れない。遠い昔話に出てくる「長老」のような存在。そんな姿が、私が思い描く人生後半の理想像です。
そして、調べてみると、こんな理想像も、高齢労働者の仕事満足度の観点からは、あながち悪くはないようです。定年後の継続的雇用とそれ以外の就業形態の比較、継続雇用の場合の諸要素間の関連を調べた調査があります。
『4.3.1. 仕事満足度
10段階からなる仕事満足度を被説明変数として、順序ロジットモデルで推定した(表12)。特定化1では、年齢が高く、健康状態が良い、今よりも高いレベルのスキルを要する仕事を経験できて、時間当たり賃金が高いほど、仕事満足度が高い。逆に、配置転換や転勤がある人の仕事満足度は有意に低くなる。こうした変数をコントロールした上でも、継続雇用ダミーは有意に負である。つまり、継続雇用はそれ以外の就業形態に比べて仕事満足度が低いといえる。
定年後の賃金変化や職務内容の変化の変数、および、業種・職種ダミー変数を追加したところ(特定化2)、継続雇用ダミーは仕事満足度に対して有意に負であり、定年後の賃金低下が小さい人や管理職、経営支援、アドバイスの仕事をしている人は、仕事満足度が有意に高かった。
最後に、継続雇用ダミーと定年後の賃金変化や職務内容の変化のダミー変数との交差項を追加して推定した(特定化3)。継続雇用でも、60 歳時までに携わっていた業務に関する後進、若手の教育係や専門職に従事している、または、専門職の場合には、仕事満足度に対して有意に正であった。
これらの結果は、継続雇用は仕事満足度に対して基本的に負の影響を与えるが、継続雇用時の働き方がその負の影響を強めたり、緩和したりする可能性があること示している。継続雇用の場合、後進の育成のように期待役割が変わった場合や専門職に従事している場合には、仕事満足度を高めうることを示唆している。 後掲、ディスカッションペーパーより』
※分析結果から得られた課題と対応の在り方につきP.21・22を参照ください。
私のような考えを、エルダーシップといって良いでしょうか(未だ語義は定まっていないようです)。
「elder」という言葉には、年長者・年上の~・長老という訳語が当てられています。
年長者や長老には、「これまで広げ、深めた知見を伝承する、知恵に基づき助言をする、面倒をみる」、という役割が求められてきたことは否定できないでしょう。そして、年長者は、その理性と経験に基づき、「新しい酒は新しい革袋に盛れ」ということも理解し、自己抑制的でいるはず。
私の考えるエルダーシップとは、まさにユパ様に体現されるものなのです。
さて、皆さんは如何、お考えですか。
もしかしたら、1億総活躍という時代には、私のような考えは時代遅れなのかもしれません。生涯現役で、自我強く、後進を押しのけてでも前に出ていく、というのが時代をキャッチアップした高齢者像なのでしょうか(実際、多いように感じます)。私には、あまり魅力的な生き方には思えないのですが。
以上
関連記事
組織開発コンサルタント 後閑徹